テマリブログ

てまり窯の作業日報など

パッチギ!

夜、テレビで「パッチギ!」を観た。
ジタンが頭突きで、世界中から非難をされたけれど、頭突き(パッチギ)に、不条理な侮辱を受け続けた者の反撃の象徴のようなものを感じた。

虐げられた野良犬が自爆的に手当たりしだいに牙をむくように、不条理な差別や暴力によって、人間も野良犬と同じように凶暴化していく現実。粗野で暴力的なシーンが多過ぎて、気持ち悪くなる。

葬式で主人公の彼が、親族や仲間に罵られ、ギターを橋の欄干で叩き壊すシーンが、強く印象に残った。こちらから、手を差し伸べてみたが、自分の知らない残酷な歴史によって、生半可な自分の感傷をあざ笑うかのように、手を振り払われる。フォークルの「悲しくてやりきれない」がぴったりのシーンだと思った。

イムジン河」、本当に名曲だと思う。こんな名曲が闇に葬られたなんて実に悲しいし、怒りが込み上げてくる。大友こうへいが上司をぶん殴るシーンは、権力で「表現の自由」を奪おうとする人間へのパッチギで、すっきりした。

在日の人々のアイデンティティーの不安定さが教えてくれることは、人間にとって、自分のルーツが何であるかが非常に大切だということか。