テマリブログ

てまり窯の作業日報など

遠回りの雨

山田太一の「遠回りの雨」を見た。一緒に見ようとツレ*1を誘ったけれど、案の定断られた。ツレは、こういう切ない恋物語が嫌いなのだ。「冬のソナタ」も「マディソン郡の橋」も嫌いなのだ。ツレのこういうドライなところも好きなんだけど、殺人事件ばかりではなく、たまには、恋愛ドラマに涙してみるのもいいと思うのだが・・・。
結婚する前に深く付き合っていた人との再会は、常識的に、やってはいけないことだと、誰でも分かっている。がしかし、家庭を持ち、夫や妻、父や母の役割を担っていても、いい歳してと言われようとも、生きている以上、情熱は残っているから、再会すれば、当時の思いがよみがえる。夏川結衣のような美しくて情熱的な女性だったら、理性など、ぶっ飛んでしまうかもしれない。
子供がいなければ、父や母という重い役割がない分、情熱を抑える力も弱くなるのかもしれない。彼女(夏川結衣)の「私、子供、いないから・・・」と言う言葉も、「あなたの子供が欲しかった」という内心の裏返しのようで切なかった。
「電車が来るまで」という刹那の恋しか選択肢がない切なさ。でも、その刹那に燃焼させる中年の恋というのも、全てが自由な若い頃にはないスリリングさがある。モラルというタガをはめられている上に、刹那だから、そして二度と会えないかもしれないから、愛しい気持ちは、当時のまま、時間が止まってしまうのだろう。死ぬまで、いい想い出としてしまっておくのがいい。 

*1:ツレがうつになりまして」を見て気に入った言い方