テマリブログ

てまり窯の作業日報など

カミーユ・コロー

今夜のNHK「迷宮美術館」はクリムトとコローだった。
特に、カミーユ・コローは大好きな画家。宗教画や人物画が全盛だった当時、自分が美しいと思った森の風景画を描き続け、独自の境地に至った偉大な風景画家。
当時の評論家が「水蒸気が立ち上るような灰色」と表したコローの銀灰色! 東洋の水墨画を思わせる、全ての色を包含したような灰色。森の中に息づく生命をニンフとして表現し、木や葉の輪郭も、ぼやかし、夢の中のような美しい風景画。
優れた技術を持ちながら、モチーフが風景であることから、評価されず、苦しかっただろう。それでも諦めず、自分が美しいと思った風景を独自の技法で傑作を描いたコロー。勇気を与えてくれる素晴らしい画家だと思う。
陶芸の世界でも、志野、織部、粉引、備前、唐津、萩、信楽、色絵、白磁、青磁など既に確立されたものに比べ、独自の釉薬などを使ったものは、なかなか評価されず、一段低いもののように扱われる。悲しいけど現実。歴史が無いものの宿命みたいなもの。
それでも、自分が美しいと思える宝石の原石のような釉薬に出会えた幸運を大切にして、自分が納得出来る仕事をして行くだけだろう。