テマリブログ

てまり窯の作業日報など

水俣病の話

今日は、9時まで釉薬掛けをしてから、合戦場小学校へ。熊本県水俣市社会福祉法人 さかえの杜「ほっとハウス」の方の話を聞いた。永本賢二さんと松永幸一郎さんは、胎児性水俣病に冒され、躰は不自由ながらも、水俣病のことを伝え歩いている。お二人の父親がともにチッソの社員だったというから、その苦しみ、悲しみは、とてつもなく深かったと思う。
水俣病の原因とされる有機水銀は、アセチレンと水を、水銀を触媒として反応させてアセトアルデヒドを作る工程で出来るという。チッソはこの有害な有機水銀を水俣の海に垂れ流してしまったのだ。人命より経済を優先する体質は、原子力発電と同じだ。福島から来た方の涙に強く感じた。
お昼は、栃木市の「なすび食堂」で食べた。この食堂も社会福祉法人の運営。永本さん、松永さんとも話が出来て、本当に良かった。

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今日の朝日新聞に法哲学者ロナルド・ドウォーキン氏を悼む記事があり、彼の最後の著書「ハリネズミの正義」の末尾が紹介されていた。

「善き生は、人並み優れた業績を残す生ではない。芸術作品の価値もその創造過程にこそある。我々は寧ろ善く生きることを目指すべきである。尊厳無き生は、一瞬で消える。しかし、他者を尊重し、自らも善く生きるならば、我々の生を宇宙の膨大な砂粒の中の小さなダイアモンドとすることができる。」

過酷な運命を引き受けて、痛みに耐えながらも前向きに生きている人が、目の前にいた。